俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
「ずっと気になってたんだが、一花はなんでそんなにアイシャを気にするんだ? 」
「え? だって…… アミールの婚約者でしょ。 アイシャさんは第一夫人になるのよね」
「……… いや…… 、 そんな予定は一生ないが…… 」
金縛りあった様に、一瞬固まった後、ギギギッと首を傾げる。
「…… で、でも、アミールもアイシャさんも一夫多妻制の事を否定しないし、婚約者だって…… 」
アミールは顔に手を当てると、今日、何度目かわからない、長く、深〜い溜息を吐いた。
「…… 確かに、アイシャの事は気にするなと、言ったな、俺。 だが、あれは…… いや、言い方が悪かったのか…… 」
自分で納得する様に小さく首を振って、一呼吸置く。
「アイシャが婚約者、と言うのは半分間違いで半分正解だ。 正確には、婚約者候補。 いや、それももう、だった、と言うべきだな」
「婚約者候補…… だった? 」
私はアミールの言葉を反芻して、彼を見つめる。
「父親同士が取引関係にあって、利益の為にアイシャをどうかと言って来たんだ。 俺もアミールも、アイシャの奔放…… 、ん、いや浪費癖か? 我儘な性格か?! まあ、兎に角、金目当、名声目当てだと、これっぽっちも隠さない、あの親子が苦手で、はなから本気に取ってない。 これは父親にも話してあるから問題ない」
好きな女くらい自分で選びたいからな、と、
私の左手を握ると、愛おしそうに甘い視線を向けた。
「アイシャの事を気にするなと言ったのは、俺にはお前しか見えてないからだ。 お前以外欲しくない。 一夫多妻制なんて、他の女なんて求めてない。 唯一、愛しているのは一花、お前だけだ 」
「私…… あなたを信じてなかったのね」
そうだな、と頷いて、アミールは左の薬指にチュッと唇を落とす。
「俺が、この三年どんな想いをしていたか…… 本当はもっと早く会いに来たかった」
世界規模で蔓延したウィルスのせいで、長い間、各国入国制限が有り、自由に出入りが出来なかったのだ。
(ウィルスめ! そのせいで、どんなに俺が苦しんだか…… )
グウウウゥーッと、悔しそうに唸るアミールの様子が、今は素直に嬉しい。
「でも、じゃあ、何で今もアイシャさんと一緒にいるの? 」
疑問に思って尋ねる。
「本人はわかってないが、アイシャには今回、お仕置きを受けて貰う為に同行してもらってる。 あの女…… 、いや、アイシャの奴、俺たちが入院している時を狙って、勝手に、敵会社に顧客情報を流出させてたんだ。 カミールが直ぐに気が付いて、事なきを得たんだが…… このまま放置して置くのも危険だからな、この機会に纏めて一掃してやる」
クククッと悪い笑みを浮かべるアミールは、やっぱり、やり手なんだなぁ、と、感心させられた。