俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
「俺達、お互いに言葉が足りなかったな」
「そう、ね…… 」
私はまだ、アミールに伝えなきゃいけない事がある。
(自分の知らない所で、自分の子供が産まれていたなんて知ったら、どう思うんだろう……
私の身勝手を軽蔑されるだろうか…… )
緊張して、顔から血の気が引くのを感じる。
(世界を相手にしている石油王の血を引く子がいるなんて知れたら、きっとただじゃ済まされない。 私はどうなっても良い。 だけど、だけどあの子達だけは守らないと! )
女の顔から母の顔に、気持ちも入れ替える。
「……お願いが、あるの…… 」
決心して、そう口を開いた時だった。
ブーブーブー……… ブーブーブー……
携帯に、着信があった。
「伊織?」
子供達を預けている時は、滅多に連絡してこないのに珍しいな、と電話に出ようと耳に当てた私の手を、アミールがギュッっと掴んだ。
「…… アイツと付き合ってんのか?! 」
口をへの字に不快感を露わにする。
「え? 伊織はそう言うんじゃ…… 」
「貸せ! 」
「あっ!! 」
言うが早いか、アミールは私から携帯を奪い取ると、自ら電話に出た。
「もしも……、 は?! あ? ああ、そうだが……、 えっ!? ………っ 」
携帯を片手に、見る見る、青褪めていくアミール。
「何……? 」
青い瞳が、零れ落ちるのではないかと思うほど、見開いて固まっている。
《……っ! おいっ!! 聞いてるのか!!》
電話口からは、伊織の叫び声が響いていた。
「…… アルとルルって…… 誰……だ…… ? 」
「アルとルルがどうかしたの?! 」
前のめりになって思わず、声が大きくなる。
「あ…… お前の子供? が、居なくなったって」
「え……っ?! 」
ガタガタガタッ!!
慌てて席を立つ。
「どう言う……こと……? 」
爪先から、サアーッと血の気が引いて、カタカタと、身体中が震えて来る。
頭が真っ白になって、私はその場を飛び出した。
「あ、おいっ! 一花!! 」
慌てて、アミールが追いかけて来る。
(アル! ルル!!)
「待て! 一花!! 」
アミールが私を静止しようと、闇雲に走り出した私の手を掴んだ。
「落ち着け、一体どうしたんだ? 」
「離して!! 」
「一花! 」
暴れる私に、何度も声を掛けるが、パニックになった私の耳には届かない。
「アル! ルル‼︎ お願い、離して。 私、行かなくちゃ……っ!! 」
「アルとルルは、お前の大切な人なんだな? 」
「そうよ! あの子達になにかあったら私……っ!! 」
ドンドンと、拳を握り締めて掴んだ手を離してと、アミールの胸を叩く。
「……っ一花!! 」
「?! 」
アミールが、私の頬に手を伸ばし、グイッと乱暴に唇を落とした。
「んっ……っ!! 」
トントントンッと背中を優しく叩いて、アミールは私を落ち着かせる。
唇にアミールの暖かい体温を感じて、身体の震えが止まった。
指先が少しずつ暖かくなり、思考回路が戻って来た。
チュッとリップ音をさせて、唇が離れる。
「…… 大丈夫か? 」
「……あ…… 」
コクリと顔だけで頷くと、アミールは、何も聞かずに、私の頬をひとなですると、路上に出てタクシーを拾う。
(お願い……! 二人とも無事でいて!!)