俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました

「伊織……っ!! 」

 自宅近くのショッピングモールに着くと、伊織が警備員に混じって、バタバタと二人を探していた。

 「一花、悪い! 会計を済ませて、袋詰めしている最中に、隣に歩いて来た男が、転んだのを、助け起こしていたら、いつの間にか、アルとルルが消えていて…… ! クソッ、あの男、キョロキョロしてて、なんか怪しかったんだ! 絶対になんか知ってるはずなのに! 」

 ガンッと、伊織はイライラして壁を殴りつけた。

「警察には連絡したのか? 」

「いや、まだ居なくなって1時間は経ってないから」

「どうしよう……、 あの二人にもしものことがあったら…… 」
 
 目尻が熱くなって涙が溢れて来る。

「俺も手伝おう。 一花、二人が行きそうな所の心当たりは? 」
 
「二人共、まだ一歳だから、ヨチヨチ歩くのが精一杯よ。そう遠くには歩いて行けないわ。 誰かが抱いて移動したなら、話は別だけど…… 」

 もしかして誘拐?! 急に不安が押し寄せて来て、また、カタカタと身体中が震えて来た。

「どうしよう…… どうしよう…… 」

 息がしづらくなって、ハッ、ハッと短く息を吐く。

 目の前が真っ白になって、膝から崩れ落ちそうになった。

「一花!」

 アミールが、私の肩をギュッっと抱いて、耳元で囁いた。

「俺の声が聞こえるな? 」

 かろうじて、小さく首を動かして返事をする。

「ゆっくり息を吸って。五秒かぞえるから、それに合わせて吐き出せ、いいな? 」

 顔の前に掌を広げて。カウントを始める。

「ほら、息を吸って。 そうだ。 じゃあ今度は吐き出せ。 ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ 」

 ふーっと深く吐き出したせいか、いつの間にか、震えは止まっていた。

「俺の顔を見ろ、一花。 お前の子だ、きっと無事でどこかにいる。 一時間経って見つからなかったら、警察に連絡する、良いな? 」

 アミールの低く、落ち着いたバリトンボイスが聞こえ、私はこくり、頷いた。

「二人の特徴は? 」

「え……? あ、ああ…… 、一歳位の男の子と女の子。 黒髪の双子……よ」


 ギクリと、して、挙動不審の私の横から伊織がチッと舌打ちして、イライラして叫んだと同時に二人を探しに飛び出して行った。

「鏡を見ろ! 」

 アミールは意味が分からず困惑していたが、双子だな、納得すると、携帯を取り出し、どこかへ電話をした。





 


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