俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
「な、な、何なのよ、こんな子! 泣き喚いてうるさいから飴あげただけじゃない! 子供はお菓子好きなんじゃないの?! あ、あなた、とっとと、連れて行きなさいよ!! 」
そう言って、足でコツコツと、アルを突いた。
「……っ! 動かさないで! 」
まさかの行動に、頭に血が昇るのを感じたが、フーーッっと息を吐いて、自分を落ち着かせる。
ルルをアミールに託し、キョロキョロと辺りを見回す。
「あ!! 」
テーブルの上に、色とりどりのビー玉ほどの飴が転がっていた。
おそらく、大きすぎて詰まったらしい。
まだ上手く食べ物を咀嚼出来なくて、喉に詰まらせたり、誤飲は5歳以下の子どもに多く、洗剤などの家庭用品や医薬品、おもちゃや硬貨など、身の回りにある様々なものが原因となる。
苦しそうにもがいているアルの口を開けて、中を覗き込む。
「あった!! 」
喉の奥に、飴が引っかかっているのが見えた。
子供の誤飲の対処法を、頭の中をフル回転させて、探り出す。
人差し指をほおの内側に沿って入れ、詰まっている物をかき出してみる。
「カフッ、カフッ」
アルの顔色がだんだんと色を失くす。
上手く取り除く事が出来ず、指がガクガクと震え出す。
(しっかりしなくちゃ!! 諦めちゃダメ!! )
「俺がやる。 一花やり方を教えてくれ 」
わかった、と頷いて、指示を出す。
「アルの頭を、胸より少し低くした状態で、片方の腕の上にうつぶせに乗せて。 下あごをしっかりとつかんで固定するの。 もう片方の手のひらで、アルの肩甲骨の間(背中の上のほう)を4~5回叩いてみて! 」
アミールが、言われた通り、アルを抱き上げ背中を叩く。
アルはまだ苦しそうにもがいている。
「頑張れ、アル! 」
アミールが何度も名前を呼ぶ。
トントントン!!
「カハッ!! 」
カツッ! コロコロ……ッ…… 。
「ウギャーアアアァァーーーンッ!! 」
堰を切ったように、アルは大声を上げて泣き出した。
「おおーっ、助かったのか? 」
「良かったな!」
パチパチと拍手が沸き、周りの人がみんな口々に声を掛けてくれる。
「よーし、よし! よく頑張ったな!! 」
アミールがポンポンと、アルの背中を優しく叩く。
「…… 良かった…… 」
ルルとアルを抱きしめようと手を伸ばした瞬間、耳に聞こえてきた言葉に、フツフツと怒りが込み上げた。