俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
「お前、自分が何したかわかってんのか?! 誘拐だぞ、しかも、下手したら殺人未遂だろ、これ! 」
アミールは、アイシャの手首を掴むと、触るな!と、身体から引き剥がす。
「な、何よ、そんなに怒らなくても良いじゃない。 し、仕方なかったのよ。 カミールと結婚する為には、子供がいないとダメだったんだから」
「…… どう言う意味だ?! 」
意味不明なアイシャの言葉に、眉毛を寄せて睨みつけるが、アイシャには全く効果なし。
「カミールが言ったのよ。 俺には子供は作れないから、私とは結婚出来ないって。 だから、子供がいれば結婚してくれると思って…… 」
「子供が出来ないって…… 」
アミールは、カミールが女が恋愛対象じゃないと、言っていた事を思い出す。
(アレは本当だったのか……? )
ウーンッ…… と頭を悩ませる。
飄々としてて、カミールはどれが本心かイマイチ掴めない。
「生理が来なくておめでただと思ったら、想像妊娠だって言われて、どうしようかと悩んでたら、カミールそっくりな、この子達を連れた、一花さんを見かけたのよ」
「だからって、黙って連れ出すなんて……! 」
「良いじゃない、二人も居るんだから一人ぐらいくれたって」
「は?」
(聞き間違い…… かな? くれ、って
…… 言った、よ、ね? )
悪びれないアイシャを、マジマジと見つめる。
「…… 確認なんだが、お前はカミールが好きなのか? 」
アミールが尋ねるとアイシャは頷いた。
「そうよ」
「……え……、 なら、なんで私に嫌がらせしたの……? 」
首を傾げてアイシャを見つめる。
「カミールがダメならアミールでも良いかと思ってたのよ。 同じ顔だし、アミールは私が来ても、嫌がらないし、それに私の事好きでしょ? 私のものに虫が付くのが、許せなかったのよ」
悪い? と、口を尖らせフンっと息を吐く。
(……何…… それ? 凄い自信と言うか…… 、凄い妄想…… )
ハァーーーッと、長いため息が出た。
「勘違いしないでくれ、俺はお前の様な自分勝手で我儘な奴、昔から、これっーーーーっぽっちも、好きじゃない。 勘違いさせたのは悪かったが、一花と、その他大勢としか認識してないからな、あえて言うまでもないと思ってただけだ 」
アミールの本心聞いたアイシャは
「嘘よ、嘘よ、二人とも私が好きなはずよ!! 」
人目も気にせず、大声で喚き散らすと、
「あんたのせいよ! あんたが現れなきゃ二人は、今まで通り私だけを見ていてくれたのに!! 私のセレブ生活、どうしてくれるのよ!! 」
目が血走り、アイシャは手を伸ばすと、一花に掴み掛かって来た。
「キャ……ッ! 」
叩かれる!! そう思い、咄嗟に、子供達を庇う。
目をギュッと、固くつぶり、衝撃に備えた私に、腕が周り、直ぐにその胸に抱き締められた。
「いい加減にしろっ! 俺の大切な人達に手をだすな!! 」
アミールの大きな胸に抱き締められて、守られてるのを感じてると、ホッと身体から力が抜けた。
「一花! 」
バタバターッと、伊織と警察官、そしてカミールが一緒に現れた。