俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
「アル! ルル! 」
伊織は二人を抱き締めて、
「怖かっただろ? ゴメン、ゴメンな」
何度も呟いた。
「…… 遅い! 」
「ゴメン、ゴメン、これでもお前から電話貰ってから、警察に連絡して、慌てて、残りのデーター纏めたり、結構無茶したんだから」
はい、と、カミールがファイルと、USBを手渡した。
その瞬間、警察官がダダダダーーーッっと、アイシャを取り囲み、取り押さえた。
「何すんのよ! 痛い、痛い‼︎ あなた達こんな事してタダで済むと思ってるの? パパに言いつけるわよ!! 」
「残念だったな、そのパパも、一足先に連行されたぞ 」
そう言って、アミールは、これがお前達親子が情報を不正に漏洩させた証拠だと、片眉を上げ、口角を上げると、ニヤリとそれはそれは満足そうにな笑顔を向けた。
「君には、誘拐犯の容疑も上乗せされるけどね。 本当に最後までおバカで可愛いかったよ、アイシャ。」
パチリとウインクして、カミールはフフフッと楽しそうに微笑んだ。
「…… 元を正せば、全部お前のせいじゃないのか? なあカミール? ちゃんと婚約破棄の理由を伝えていれば、こんなに拗れる事も、なかっただろうに…… 」
アミールは、死んだ魚のような目で彼を見つめる。
「確かに…… 」
私もコクリと同意する。
「想像妊娠って事は、手を出したんじゃねーの? じゃなきゃ、あんなおかしな事しねーんじゃねーのか? 」
伊織が最もな事を呟いた。
「誓ってそれはないよ。 言っただろう? 双子なんだからタイプは似たようなものだって 」
「アレは、元からの気質か…… 怖っ…… 」
ブルッと、伊織はアルとルルに抱きつく。
アミールはまだ言いたい事があるのか、じっと私の顔を見て、戸惑いながらを開いた。
「なあ……、もしかして…… 」
ドキリと心臓が跳ねた。
「アルとルルの父親は…… カミールなの、か? 」
「「「…… はあ?! 」」」
思いもよらない質問に、3人で目を見開いて固まる事10秒。
「ブッハハハハハハーーーッ! 」
カミールがお腹を抱えて笑い出す。
「なんで、そうなるんだ? 」
伊織も片眉を上げると、眉間に皺を寄せた。
「いや、だって、アルとルル、カミールにそっくりだろ? それに、タイプも同じって言う事は…… もしかして、俺が入院してる時に…… 」
口に手を当て、ブツブツと呟いているアミールに、あきれ気味の伊織。
「…… お前マジで鏡見ろよ…… 双子なんだろ? お前達…… 」
「アミールって、仕事の時はあんなに頭がキレるのに、一花の事になると、本当おバカになるよね 」
そんなおバカな弟が可愛くてしょうがないよ、僕はと、ポンポンと肩を叩く。
「ちゃんと、男になりなよ」
「…… どう言う意味だ? 」
解せない……、と唇を尖らせるアミールは幼く見える。
「一花、手」
ホラ、っと伊織がチャリッと鍵を取り出して、掌の上に乗せた。
目だけで一瞬チラッと、アミールを見てから、私に視線を送る。
…… わかってる、とばかりに私はコクリと首を縦に振った。