俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
五歳になったばかりの夏、私は両親の離婚で、施設に預けられた。
「お母さん……、 お父さん…… 」
寂しくて毎日泣いてばかりいた。
学校は義務教育だから、普通に通えたけれど、
「お前、あの貧乏施設の子なのか? 親に捨てられた、いらない子じゃないか」
「ほら、これやるよ」
目の前に、嫌いな食べ物を、施しだと言って山積みにする同級生達。
「食ーえ!、食ーえ!!」
一人が、からかえば、波のようにそれが広がる。
どんなにバカにされても、揶揄われても、私に両親が居ないのは、事実だ。
唇を噛み締め、俯くしか出来なかった。
施設で暮らす子達の共通点は、ネグレストや、親の離婚、など何らかの事情で、両親と暮らせない子達ばかり。
下は0歳の乳児から上は18歳まで。
沢山の子達が居て、とても賑やかだが、みんな何かしら心に傷を負っていた。
早い子で数日、数週間、長くて年単位で暮らす。
その中でも私と伊織は、期限ギリギリまで暮した。
早く自立したくて、高校時代はバイトに明け暮れて、初めての給料日、感激し過ぎて、諭吉を抱いて眠った。
クリスマスに、細やかながらも、下の子達にお菓子をプレゼントする事が、出来たのも良い思い出。
高校を卒業と同時に、看護師の養成制度を利用して、寮へと引越しした。
「うわあっーっ、初めての一人部屋!!」
施設では、大部屋に沢山の子達が居て、一人でのんびりする事なんて出来なかったから、寮の部屋が天国の様に感じて、感動で涙が湧いて来たのは秘密だ。
病院等に、看護学生として勤務しながら、看護師資格を取得する制度を、利用した。
友達には、
「嫌な上司とか居ても、暫く転職出来ないんだよ」
なんて、心配されたけど、大した学歴も後ろ盾もない私には、有難い制度だった。
「就職口も決まってるなんて、素晴らしいわ!」
看護師資格取得後、お礼奉公として当該病院で、何年間か勤務する事が、決まっている。
施設に、居れるのは18歳まで。
次から次へと、沢山の子達が入居してくる。
長い時間ここで暮らした私の拠り所は、やっぱりここしかない。
(出たくないな…… )
不安でつい、弱気になる。
だけど、甘えや我儘は言えない。
一人で生きて行くにはとにかく、
「手に職だ! 」
迷わず進路を決めた。
「給料良いぞ!」
超現実的な伊織の情報。
先に医療関係に進学した、伊織の影響も、もちろん大きかったが、
(施設で下の子達の、面倒を見るのに似てるわね)
案外、看護師は、私に向いていた。