スノー&ドロップス
 食事が終わると、いつも決まって(おう)くんの部屋へ行く。白と黒の統一感ある配色。すっきり整頓(せいとん)されている本棚。

 ここで勉強を教えてもらうのが私の日課。

 頭の良い鶯くんは、県内トップの高校へ通っている。中学時代は、整った容姿とクールな性格から、女子に憧れの眼差しを向けられる事も多かった。

 きっと、欲しいものはなんでも手に入るような人なんだろうと、心のどこかで思っている。

 彼は自慢の兄であり、尊敬する存在、そして私が長年淡い想いを寄せている相手でもある。

 それでいて……


「よく出来たね。 茉礼は、僕の自慢の妹だよ 」

 背後から、不意打ちに抱きしめられて、私の体は氷のように固まって動けなくなった。

 ほら、こうして私に甘い飴を与えてくれるの。

 椅子がギシッと音を立て、更に胸が苦しくなる。

 褒めて欲しくて、認めてもらいたいがために頑張れる。そう思うようになったのは、きっと小学三年生の頃から。
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