黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
私は緊張しながら出勤日を迎えたが、八重樫君は何事もなかったかのように「おはようございます。今日からご指導よろしくお願いします」と爽やかに声をかけてきた。
敬語は使えるのね。
今日からフォローしていた先の引き継ぎを行うことになっている。
隣に座ってきた八重樫君は小袋を私の机の上に置いた。
それは今朝私が誰にも見られないように八重樫君の机の引き出しに入れたタクシー代だった。
「これはーー」
言葉を発しようとするとペタリと付箋が貼られた。
『受け取って欲しい場合はここでキスしてください』
な、なんと破廉恥な!
誰が仕事中に、しかも人がいるオフィスでキスをするのだろか。
受け取らないと言っているようなものではないか。
「どうしましたか? 引き継ぎしないんですか? それとも……」
しませんよ。キスなんて、もちろんしません。
諦めて引き継ぎを始める。
課長のフォローとはいえ、営業が行うべき業務の一部も請け負っていたのでこれまでの経緯や提出した資料の詳細説明を私から行った。最後に各種資料のありかなどを説明するために部署内を案内した。
棚やキャビネットを開き丁寧に説明すると八重樫君は一緒にかがんだり覗いたりしながら聞いてくれた。
「ここにない資料は、廊下を出て右側、突き当りの資料室にまとめてありますのでそちらでお探しください。見当たらない場合は事務の者にお声がけください」
「じゃあ、二条さんに声かけます!」と1日の疲れを吹き飛ばすような爽やかな笑顔を見せる八重樫君。
くぅ〜!!
今日も一日頑張れそうと思っていた私に爽やかな青年は爽やかではないことをしてきた。
「顔赤いですよ、二条さん」
私の顔が赤いのは、腰より少し高いキャビネットの前で誰にも見えないように八重樫君が手を握ってきたからだ。
「二条さん、大丈夫ですか?」
八重樫君はにんまりした顔で聞いてくる。
原因は自分であることを誰よりも理解しているのだからたちが悪い。
「あの、離してください」と私は皆に背を向けながら小さな声で八重樫君に訴えた。
こんなところで手を握られては色々な意味で心臓が止まってしまいます。
「離しません。説明に集中してください」と八重樫君は真っ当な事を訴えるかのように言ってきた。
いやいや、何を言っている八重樫君。こんなんじゃ集中できません。
「コピー機の使い方を教えます」
私は掴まれていない方の手で死角のないコピー機が置かれたところを指さし、移動しながらなんとか手を離してもらった。
そして、壁際に設置されているコピー機の前に辿り着り、みんなに背を向けて立ち止まったが……
真後ろに立たなくてもよくないですか?
八重樫君の体温が背中を通して感じられそうな距離感だ。
3センチのヒールでは私の頭上から八重樫君の頭が出ているので私の手元の操作は見え、説明はちゃんと聞いているようだ。
真面目に見てください、聞いてくださいというお説教もできないので私は早口で説明し、心臓が止まる前に何とか八重樫君から解放された。
敬語は使えるのね。
今日からフォローしていた先の引き継ぎを行うことになっている。
隣に座ってきた八重樫君は小袋を私の机の上に置いた。
それは今朝私が誰にも見られないように八重樫君の机の引き出しに入れたタクシー代だった。
「これはーー」
言葉を発しようとするとペタリと付箋が貼られた。
『受け取って欲しい場合はここでキスしてください』
な、なんと破廉恥な!
誰が仕事中に、しかも人がいるオフィスでキスをするのだろか。
受け取らないと言っているようなものではないか。
「どうしましたか? 引き継ぎしないんですか? それとも……」
しませんよ。キスなんて、もちろんしません。
諦めて引き継ぎを始める。
課長のフォローとはいえ、営業が行うべき業務の一部も請け負っていたのでこれまでの経緯や提出した資料の詳細説明を私から行った。最後に各種資料のありかなどを説明するために部署内を案内した。
棚やキャビネットを開き丁寧に説明すると八重樫君は一緒にかがんだり覗いたりしながら聞いてくれた。
「ここにない資料は、廊下を出て右側、突き当りの資料室にまとめてありますのでそちらでお探しください。見当たらない場合は事務の者にお声がけください」
「じゃあ、二条さんに声かけます!」と1日の疲れを吹き飛ばすような爽やかな笑顔を見せる八重樫君。
くぅ〜!!
今日も一日頑張れそうと思っていた私に爽やかな青年は爽やかではないことをしてきた。
「顔赤いですよ、二条さん」
私の顔が赤いのは、腰より少し高いキャビネットの前で誰にも見えないように八重樫君が手を握ってきたからだ。
「二条さん、大丈夫ですか?」
八重樫君はにんまりした顔で聞いてくる。
原因は自分であることを誰よりも理解しているのだからたちが悪い。
「あの、離してください」と私は皆に背を向けながら小さな声で八重樫君に訴えた。
こんなところで手を握られては色々な意味で心臓が止まってしまいます。
「離しません。説明に集中してください」と八重樫君は真っ当な事を訴えるかのように言ってきた。
いやいや、何を言っている八重樫君。こんなんじゃ集中できません。
「コピー機の使い方を教えます」
私は掴まれていない方の手で死角のないコピー機が置かれたところを指さし、移動しながらなんとか手を離してもらった。
そして、壁際に設置されているコピー機の前に辿り着り、みんなに背を向けて立ち止まったが……
真後ろに立たなくてもよくないですか?
八重樫君の体温が背中を通して感じられそうな距離感だ。
3センチのヒールでは私の頭上から八重樫君の頭が出ているので私の手元の操作は見え、説明はちゃんと聞いているようだ。
真面目に見てください、聞いてくださいというお説教もできないので私は早口で説明し、心臓が止まる前に何とか八重樫君から解放された。