黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
「二条さん、起きて」
肩を揺すられ、耳元で八重樫君の声が聞こえた。
ああ、夢か。八重樫君に黒塗りの車に乗せられるなんて夢以外ないもんね。
ゆっくりと体を伸ばすと腕が何かに当たった。
ん? なんだ? いや、私座ってる、ってことは……。
「起きた? 俺の肩そんなに寝心地よかった?」
八重樫君が笑顔で私を見ている。
夢じゃない。夢じゃなかったんだ。
今日の明け方まで漫画を読みふけった結果、私は車の中で寝ていたのだ。
八重樫君の方の扉が運転手によって開けられる。
「ほら、もう着いたよ」
外には沢山の人がいて、有名な神社へと続く道があった。
ここは映画に出てきた神社だ。
「行こうか」
車から降りて手を差し伸べる八重樫君はまさに貴公子だ。
は、恥ずかしい。
私は八重樫君の手を取らずに一人で外に出た。
八重樫君は微妙な笑みを浮かべながらも私の隣に立ち、私の歩調に合わせて歩き始めた。
鳥居をくぐり抜け、中央付近まで来た所で八重樫君は私の前に出て満面の笑みを浮かべながら体を私に向けてきた。
「ここだ! ここであの2人は初めて手繋ぐんだよね」
少年のようにはしゃぎ出す八重樫君は、参道の真ん中で映画と同じように佇む。
ちょうど八重樫君がいるあたりで女の子から手を繋いだんだ。精一杯勇気を振り絞って。
「二条さん、ほら」
映画であの女の子がしたように手を差し出す八重樫君。
いや、手など繋ぎませんよ。
私はその手をスルーして先に進んだ。
八重樫君は残念そうに、手くらいと小言を吐きながらついてきた。
自分でも可愛くない女だと分かっているがあんな状況で手を繋いだら取り返しがつかなくなる。
私には無理だ。
私は女子高生ではなく、三十路をとっくに過ぎた女なのだから映画の主人公にはなれない。
私達はお参りを済ませ、映画の中で2人が買っていた御守りがディスプレイされた看板を見ていた。
映画の影響もあってか販売所はかなり混んでいる。
「二条さん、縁結びの御守りでいいよね」
「私はいりません」
今更、縁結びの御守りなんて買ってどうする。
「そんな……じゃあ二条さんが買うならどれがいい?」
私が買うならか。家内安全も違うし交通安全でもない、強いて言えば健康祈願か……いや
「心身堅固」
「心に和みと安らぎを……ってなんか二条さんっぽい」
笑いながら人混みの中に消えていく八重樫君の姿を私はじっと見つめていた。
何で私は彼よりもずいぶん早く産まれてきてしまったのだろうか。
しばらくして八重樫君は満面の笑みを浮かべて小走りで戻ってきた。
「二条さんの心が和み安らぎますように」
八重樫君は両手で御守りをはさみ、祈るようにそう言った。
御守りを買ってこんなに想いを込めて渡してくれたのは八重樫君が初めてだ。
「お代を……」
「だからいらないって。ちなみに俺はこれ」
八重樫君の手には映画で出て来た縁結びのお守りが握られていた。
そんなに成就させたい恋があるのか。
「買えてよかったね。好きな子に渡せるといいね」
「うん」
八重樫君は、ペアの縁結びの御守りを嬉しそうに鞄の中に入れていた。
あの御守りを渡されるのは会社の子だろうか、それとも私の知らない子だろうか。
知らない子であって欲しいと思ってしまう。
肩を揺すられ、耳元で八重樫君の声が聞こえた。
ああ、夢か。八重樫君に黒塗りの車に乗せられるなんて夢以外ないもんね。
ゆっくりと体を伸ばすと腕が何かに当たった。
ん? なんだ? いや、私座ってる、ってことは……。
「起きた? 俺の肩そんなに寝心地よかった?」
八重樫君が笑顔で私を見ている。
夢じゃない。夢じゃなかったんだ。
今日の明け方まで漫画を読みふけった結果、私は車の中で寝ていたのだ。
八重樫君の方の扉が運転手によって開けられる。
「ほら、もう着いたよ」
外には沢山の人がいて、有名な神社へと続く道があった。
ここは映画に出てきた神社だ。
「行こうか」
車から降りて手を差し伸べる八重樫君はまさに貴公子だ。
は、恥ずかしい。
私は八重樫君の手を取らずに一人で外に出た。
八重樫君は微妙な笑みを浮かべながらも私の隣に立ち、私の歩調に合わせて歩き始めた。
鳥居をくぐり抜け、中央付近まで来た所で八重樫君は私の前に出て満面の笑みを浮かべながら体を私に向けてきた。
「ここだ! ここであの2人は初めて手繋ぐんだよね」
少年のようにはしゃぎ出す八重樫君は、参道の真ん中で映画と同じように佇む。
ちょうど八重樫君がいるあたりで女の子から手を繋いだんだ。精一杯勇気を振り絞って。
「二条さん、ほら」
映画であの女の子がしたように手を差し出す八重樫君。
いや、手など繋ぎませんよ。
私はその手をスルーして先に進んだ。
八重樫君は残念そうに、手くらいと小言を吐きながらついてきた。
自分でも可愛くない女だと分かっているがあんな状況で手を繋いだら取り返しがつかなくなる。
私には無理だ。
私は女子高生ではなく、三十路をとっくに過ぎた女なのだから映画の主人公にはなれない。
私達はお参りを済ませ、映画の中で2人が買っていた御守りがディスプレイされた看板を見ていた。
映画の影響もあってか販売所はかなり混んでいる。
「二条さん、縁結びの御守りでいいよね」
「私はいりません」
今更、縁結びの御守りなんて買ってどうする。
「そんな……じゃあ二条さんが買うならどれがいい?」
私が買うならか。家内安全も違うし交通安全でもない、強いて言えば健康祈願か……いや
「心身堅固」
「心に和みと安らぎを……ってなんか二条さんっぽい」
笑いながら人混みの中に消えていく八重樫君の姿を私はじっと見つめていた。
何で私は彼よりもずいぶん早く産まれてきてしまったのだろうか。
しばらくして八重樫君は満面の笑みを浮かべて小走りで戻ってきた。
「二条さんの心が和み安らぎますように」
八重樫君は両手で御守りをはさみ、祈るようにそう言った。
御守りを買ってこんなに想いを込めて渡してくれたのは八重樫君が初めてだ。
「お代を……」
「だからいらないって。ちなみに俺はこれ」
八重樫君の手には映画で出て来た縁結びのお守りが握られていた。
そんなに成就させたい恋があるのか。
「買えてよかったね。好きな子に渡せるといいね」
「うん」
八重樫君は、ペアの縁結びの御守りを嬉しそうに鞄の中に入れていた。
あの御守りを渡されるのは会社の子だろうか、それとも私の知らない子だろうか。
知らない子であって欲しいと思ってしまう。