黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
重大なことを忘れていた。引っ越した場合、会社に転居届を提出しなければならないのだ。
会社に申請している自宅はもう住んでいないのでそのままというわけにはいかない。
「これいつまでに会社に出しなきゃいけないの?」
「うーん。引っ越したからすぐ?」
「これ提出したらどうなるか想像つく?」
「うーん。俺と双葉が付き合ってるってバレる」
「付き合ってない!」
「即否定しなくても……。一緒に住んでることバレるのは分かってるよ」
「それいつから分かってたの?」
「いつからって……初めっから」
なんと利口な子犬でしょう。最初っから分かっているなんて。じゃなーい!
「なんで早く言ってくれなかったの? 言ってくれれば同居考え直したのに」
「同居じゃなくて同棲ね。それに、これで双葉に手を出す奴もいなくなるから一石二鳥だ」
「私に手を出す人なんてこの世に人っ子一人おりません」
「自分で言って辛くならない?」
「辛いですとも、惨めですとも。でも言わせたのは蓮だよ」
「よしよし、泣かないで」と言って八重樫君は膝をつき肩を落としている私の頭を撫でてきた。
なんて優しいの?
じゃない!
また八重樫君のペースに飲み込まれるところだった。
「どうしよう。これ誰に出さなきゃいけないの?」
「総務」
私は運がいい。
だって総務には郁美がいる。郁美に口止め料を払ってこっそり処理してもらおう。彼女ならできるはずだ。
「良かった。内密に処理してもらおう」
「何でそんなに隠したがるかなぁ」
それはね、あなたがモテモテだからですよ。
私とあなたが一緒に住んでいるなんて知れ渡ったら大変な事になってしまいます。
「根も歯もない噂立てられても困るでしょ」
「根も歯も生やせばいいじゃん」
八重樫君は何を言っているんだ。本当に若者にはついていけない。
「分かったから今日は一緒のベッドで寝ようね」
「意味分からないから。何の交渉にもなってないよ」
「そっか。じゃあこの書類は俺から提出して、課長にも一緒に住むって報告してーー」
「あぁもう! 分かったわよ。寝ればいいんでしょ寝れば」
自分を守れるのは自分しかいない。
変な噂が立つよりましだ。
たかが添い寝。これでラストだ。
「なんか今日は素直だね」
八重樫君はそう言いながら悪戯な笑みを浮かべた。
その夜、私はベッドに寝そべって両手を広げて待っている八重樫君の腕の中に初めて自ら身を投じた。
八重樫君は嬉しそうに私の頭を撫でている。
見るな! 見るな! こっちを見るな!!
「顔赤くなってない?」
「なってない」
会社に申請している自宅はもう住んでいないのでそのままというわけにはいかない。
「これいつまでに会社に出しなきゃいけないの?」
「うーん。引っ越したからすぐ?」
「これ提出したらどうなるか想像つく?」
「うーん。俺と双葉が付き合ってるってバレる」
「付き合ってない!」
「即否定しなくても……。一緒に住んでることバレるのは分かってるよ」
「それいつから分かってたの?」
「いつからって……初めっから」
なんと利口な子犬でしょう。最初っから分かっているなんて。じゃなーい!
「なんで早く言ってくれなかったの? 言ってくれれば同居考え直したのに」
「同居じゃなくて同棲ね。それに、これで双葉に手を出す奴もいなくなるから一石二鳥だ」
「私に手を出す人なんてこの世に人っ子一人おりません」
「自分で言って辛くならない?」
「辛いですとも、惨めですとも。でも言わせたのは蓮だよ」
「よしよし、泣かないで」と言って八重樫君は膝をつき肩を落としている私の頭を撫でてきた。
なんて優しいの?
じゃない!
また八重樫君のペースに飲み込まれるところだった。
「どうしよう。これ誰に出さなきゃいけないの?」
「総務」
私は運がいい。
だって総務には郁美がいる。郁美に口止め料を払ってこっそり処理してもらおう。彼女ならできるはずだ。
「良かった。内密に処理してもらおう」
「何でそんなに隠したがるかなぁ」
それはね、あなたがモテモテだからですよ。
私とあなたが一緒に住んでいるなんて知れ渡ったら大変な事になってしまいます。
「根も歯もない噂立てられても困るでしょ」
「根も歯も生やせばいいじゃん」
八重樫君は何を言っているんだ。本当に若者にはついていけない。
「分かったから今日は一緒のベッドで寝ようね」
「意味分からないから。何の交渉にもなってないよ」
「そっか。じゃあこの書類は俺から提出して、課長にも一緒に住むって報告してーー」
「あぁもう! 分かったわよ。寝ればいいんでしょ寝れば」
自分を守れるのは自分しかいない。
変な噂が立つよりましだ。
たかが添い寝。これでラストだ。
「なんか今日は素直だね」
八重樫君はそう言いながら悪戯な笑みを浮かべた。
その夜、私はベッドに寝そべって両手を広げて待っている八重樫君の腕の中に初めて自ら身を投じた。
八重樫君は嬉しそうに私の頭を撫でている。
見るな! 見るな! こっちを見るな!!
「顔赤くなってない?」
「なってない」