黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
そんなことを思いながら誰もいなくなったオフィスで資料を仕上げていく。みんなは飲んで騒いでいるのだろうと思うと急に悲しくなってきた。
「二条君、ごめんね。今日が歓迎会なんてすっかり忘れてたよ」
「部長、何でここにいるんですか?」
「いや、二条君がいないなって思って聞いたら皆知らないって言うから、もしかしたらと思って、近くだし、差し入れ持ってきた」
お酒のせいか、鬼部長の顔が緩んで、枯れ専には堪らない皺を深く際立たせた笑顔を見せてきた。
「部長の歓迎会なんですから」
「いいのいいの。私がいない方がみんな気兼ねなく飲めるでしょ」
「部長……」
気付いていらっしゃったのですね。
「今日は切りのいいところで切り上げて二条君も一緒に歓迎会に戻らないか? まぁ今からじゃ、1時間もないが」
「お気遣いありがとうございます」
私は部長が手渡してくれた温かいコーヒーをもらった。
「間に合わなくてすみません」
「いや、こっちこそ二条君の仕事っぷりに甘えて過剰に仕事を頼んでしまったみたいで、すまない。オフィスに戻らず会場に行ったもんだから、君がいない事に気がつくのに2時間もかかっちゃったよ。黒子ちゃんと言われているだけあるな」
それは褒めているのか貶しているのか。
「どこまで進んだか見せてもらってもいいかな?」
そう言うと部長は私に近づき、マウスで画面を操作しながら私の作った資料を確認していく。
椅子の後ろには部長の身体。右斜め上には部長の顔、左背もたれには部長の手が添えられて、右側には部長の腕が伸びてマウスを操作している。そして部長が動く度になんとも爽やかでどこか生活感のある香りが漂っている。
これが大人の色気というものか。
枯れ専漫画ばかりを読んでいたせいか年上男性に妙にドキドキしてしまう。
「ここ良いね。ここも凄くいい」
マウスをクリックしながら次々にページをめくっていく。
マウスをクリックするたびに動く人差し指はすらっと長く美しい。手の甲には男性らしい浮き出た血管。
「二条さんは上手いな」
資料の構成を褒められているようだ。
「うん。素晴らしい。今日はもう十分だ」
部長はそう言うと、保存ボタンを押し、ウィンドウを閉じたと同時に、入口の方からガタンと物が落ちた音がした。
部長と二人で入口の方向を見ると八重樫君がじっとこっちを見ていた。
「どうしたんだ、八重樫君」
「えっと……忘れ物、忘れ物したのに気がつきまして」
「そうか。じゃあ、3人で会場に戻ろうか」
そう言うと部長は私の肩に手を置いた。
その瞬間、八重樫君の顔が引きつった。部長は私を見ていたため、八重樫君の表情には気が付いていないだろう
「二条君、ごめんね。今日が歓迎会なんてすっかり忘れてたよ」
「部長、何でここにいるんですか?」
「いや、二条君がいないなって思って聞いたら皆知らないって言うから、もしかしたらと思って、近くだし、差し入れ持ってきた」
お酒のせいか、鬼部長の顔が緩んで、枯れ専には堪らない皺を深く際立たせた笑顔を見せてきた。
「部長の歓迎会なんですから」
「いいのいいの。私がいない方がみんな気兼ねなく飲めるでしょ」
「部長……」
気付いていらっしゃったのですね。
「今日は切りのいいところで切り上げて二条君も一緒に歓迎会に戻らないか? まぁ今からじゃ、1時間もないが」
「お気遣いありがとうございます」
私は部長が手渡してくれた温かいコーヒーをもらった。
「間に合わなくてすみません」
「いや、こっちこそ二条君の仕事っぷりに甘えて過剰に仕事を頼んでしまったみたいで、すまない。オフィスに戻らず会場に行ったもんだから、君がいない事に気がつくのに2時間もかかっちゃったよ。黒子ちゃんと言われているだけあるな」
それは褒めているのか貶しているのか。
「どこまで進んだか見せてもらってもいいかな?」
そう言うと部長は私に近づき、マウスで画面を操作しながら私の作った資料を確認していく。
椅子の後ろには部長の身体。右斜め上には部長の顔、左背もたれには部長の手が添えられて、右側には部長の腕が伸びてマウスを操作している。そして部長が動く度になんとも爽やかでどこか生活感のある香りが漂っている。
これが大人の色気というものか。
枯れ専漫画ばかりを読んでいたせいか年上男性に妙にドキドキしてしまう。
「ここ良いね。ここも凄くいい」
マウスをクリックしながら次々にページをめくっていく。
マウスをクリックするたびに動く人差し指はすらっと長く美しい。手の甲には男性らしい浮き出た血管。
「二条さんは上手いな」
資料の構成を褒められているようだ。
「うん。素晴らしい。今日はもう十分だ」
部長はそう言うと、保存ボタンを押し、ウィンドウを閉じたと同時に、入口の方からガタンと物が落ちた音がした。
部長と二人で入口の方向を見ると八重樫君がじっとこっちを見ていた。
「どうしたんだ、八重樫君」
「えっと……忘れ物、忘れ物したのに気がつきまして」
「そうか。じゃあ、3人で会場に戻ろうか」
そう言うと部長は私の肩に手を置いた。
その瞬間、八重樫君の顔が引きつった。部長は私を見ていたため、八重樫君の表情には気が付いていないだろう