8つの怖い話
そのまま片手で和輝の体を持ち上げる。


和輝は目を見開き、両足をバタつかせて抵抗するが、ビクともしていない。


「やっと体を手に入れた」


それは直人から発せられた言葉だったけれど、声はガラガラに掠れて低く、まるで別人のものだった。


アズサたちは恐怖で見がすくんでなにもできなかった。


一体今目の前でなにが起こっているのか、理解することも難しかった。


そんな中立ち向かったのは実だった。


「和輝を離せ!」


首を掴まれて呼吸ができなくなっている和輝を助けるために、実が直人の腕にしがみついた。


普段なら実の方がずっと力が強いはずなのに、それでも直人はビクともしなかった。


「なんだお前は」


直人の赤い目が実を捉えて光る。
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