Gentle rain
残念な気持ちよりも、寂しい気持ちが勝るのは、なぜなんだろう。

少なくても、こんな感情は初めての経験だった。

「美雨ちゃん、先に行って。俺、お金払ってから行くから。」

「あっ、それなら私も……」

付いてこようとした彼女の頭を、財布で軽く叩いた。

「女の子は、お会計の時一緒にいないの。」

「でも……」

「でも何?」


わざと冷たい態度を取ると、困った顔をして、うつ向いて。

俺は小学生か。

「今日は俺が誘ったんだから、美雨ちゃんは『ごちそう様!』って笑顔で言ってくれればそれでいいんだよ。」

「笑って?」

「そ。笑って。」

すると彼女は、しばらくはにかんだ後、にっこり笑ってくれた。

「ごちそう様でした。美味しかったです。」

「それはよかった。じゃあ、お店出たところで、待っててね。」
< 102 / 289 >

この作品をシェア

pagetop