Gentle rain
「あら。」

「そうしたら、接待相手のお客さんに、『俺の部屋からは、もっと綺麗に見えるぞ。』って言われて、連れて来られたのがこのホテルの最上階!」

少年に戻ったみたいに、この部屋を指さすと、彼女はそんな俺をクスクス笑ってる。


そんな彼女を、ずっと見つめていた。

誰もいない、たった二人だけの世界で、彼女は俺だけに笑ってくれている。

ふと彼女は笑うのを止めて、だんだんと俺に顔を向ける。


「階堂さん?」

暗闇の部屋の中、打ちあがる花火が、彼女の美しい顔を照らし続けていた。

初めて夏目の家で彼女を見た時、そのマシュマロのような白くて柔らかそうな肌に、瞳を奪われた。

「あの…こんなに近い場所で見つめられると、困ります……」

「どうして?」

すると彼女は、本当に恥ずかしそうに、顔を両手で覆った。
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