Gentle rain
「階堂さんっ!」



助けを請うような、彼女の呼び声。

そこでハッと我に返った。

慌てて彼女から、自分の身体を離す。

俺の下にいた彼女は、小さく身体を丸めていた。


「ごめん、美雨ちゃん。」

彼女の気持ちも考えずに、何やってんだ、俺は。

「これ以上は何もしないから。本当にごめん。」

謝っても彼女は、少しも動いてくれない。

迂闊だった。

まだ大学生の彼女が、突然こんな事をされて、黙って受け入れられるはずがない。

「許してくれるわけがないか……」


彼女に気づかれないように、そっとベッドから降りようとした時だった。

「待って……」

小さく丸まった彼女から、手が伸びてきた。

「行かないで……」

思いがけない彼女の言葉に、小さく丸まった彼女を、正面に向かせた。
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