Gentle rain
「兄さん……」

私はその言葉が、何よりも嬉しかった。

兄さんだけは、何があっても私の味方なのだと思えたから。

「だってそうだろう。相手を想う気持ちは、誰にだって止められはしない。無理なんだ、無かったことにするなんて。」

私はなぜか、兄さんが自分の事を語っているような気がした。

「ねえ、兄さん。」

「ん?」

「兄さんも、辛い恋をしているの?」

兄さんもじっと私を見ると、途端に噴き出した。


「兄さんもって……」

「あっ……」

思わず口を片手で覆った。

「やっぱり美雨は、好きな男がいるんじゃないか。」

「あの…」

「正直に言わないと、俺の話はしないぞ。」


久しぶりに見る、兄さんの意地悪そうな顔。

「もう、わかったわ。いるわよ、好きな人。」

「どんな奴?」
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