Gentle rain
「ほら、軒下にいる高そうなスーツを着ている人よ。」

やっぱり店長は、階堂さんの事を言っている。

「ねえ、そう言えばあの人。前、夏目さんにキャンドルをくれた人よね。」


さすが店長。

そんなことまで覚えているんですね。


その台詞が、タイミングの悪い事に、出てこない。

ああ、まるで私がその人を意識しているって、店長に教えているようなものだ。


「もしかして、残業するって言ったのは、あの人のせい?」

店長はそっと、私の肩に手を添えてくれた。

「…いえ。」

「あら、なかなか素直じゃないわね。」

意外な答えに、私は顔を上げた。

「あの人が気になるって、顔に書いてあるわよ。」

咄嗟に、自分の頬を撫でる。


「ふふふっ!本当に書いてあるわけじゃないって!」

「です…よね……」
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