Gentle rain
間もなくエレベーターは、何もなかったかのように止まり、俺は静かな音を立て、社長室の扉を開けた。

「お帰りなさいませ。」

「……ただいま。」

俺は急いでデスクに戻ると、勢いよく椅子に腰かけた。

「いかがでした?」

秘書の子が、花瓶の花を直しながら、尋ねてきた。

「ああ。君の言う通り、探していた手帳だったよ。」

「それはよかったですね。」

「ああ、ありがとう。」


しばらくして秘書の子は、花を整え終わると、身体をクルッと俺の方に向かせた。

「よほど可愛らしい方だったんですね。」

「えっ?」

「社長が外に出てまで、追いかけるだなんて。」

秘書の子は、楽しそうだ。

「見てたのか?」

「いいえ。タイミング良く、目に飛び込んできただけです。」


そうか。

そういうものか。
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