同居人は無口でクールな彼
そんなことを考えているときだった。
「俺が送っていくことになってるから」
突然ドアが開いて、不機嫌そうな翔哉くんが立っていたのは。
ズンズンと歩いてきて、わたしに「帰るぞ」と言う。
その様子を全員が唖然と見ていた。
わたしも突然の出来事に訳が分からず、ただ翔哉くんのあとを追いかけるので精いっぱいだった。
目を丸くしたままの希美ちゃんと灰谷くんを置いたまま、わたしは教室を出た。
「翔哉くん……!」
声をかけられてのは、校舎を出てからだった。
帰りもわたしの位置は彼の半歩後ろ。
翔哉くんは今回も一度も振り返ってはくれない。
「どうして……わざわざ迎えに来てくれたの?」
もうすっかり暗くなった夜道は昨日よりも怖くなかった。
きっと隣に翔哉くんがいてくれるから。