同居人は無口でクールな彼



「ラインしたんだけど」

「え?ライン?」


慌ててスマホを取り出してみる。

翔哉くんの言うように、確かに彼からラインが1件入っていた。


“今部活終わった。どこにいる?”と。

翔哉くんらしいラインだった。


「ごめんね、気づかなかった」

「だと思った。この前の教室に行ってみて正解だったな」


そう言えば、一度翔哉くんはわたしを探しに来たっけ。

書類を届けるために。


「ひっ……」


後ろからビュンと自転車が駆け抜けて、思わず翔哉くんのカバンをつかんでしまった。

昨日つけられたことが脳裏に焼き付いていて、背後からの音に敏感になっているみたい。


思わずつかんでしまったけれど、気まずかった。

一度もこちらを振り返らなかった翔哉くんと目が合って、さらに気まずくなる。




< 108 / 285 >

この作品をシェア

pagetop