同居人は無口でクールな彼



「野々村鈴香です。今日からよろしくお願いします」

「鈴香ちゃん、大きくなったわねえ。おばさんのこと覚えてないわよね。鈴香ちゃんがこーんな小さい時に何度か会っているのよ」


おばさんは地面についてしまうのではと思うくらい、低く手をかざしていた。



「ふふ、優ちゃん、そんなに小さくはなかったでしょう?」

「ふふ、そうね。幼稚園の時だったかしらね」


お母さん同士は本当に仲がいいんだというのが、少しの会話でわかった。

こんなに笑い合える友達がいるお母さんが羨ましく思ってしまう。



「友ちゃん、新幹線の時間は大丈夫?」

「あら、もうこんな時間!そろそろ行かないと。じゃあ、鈴香、お行儀よくね。優ちゃん、鈴香のことお願いね」


嵐のように母が去っていく様子を、わたしとおばさんは顔を見合わせながら見送った。

きっと同じことを思ったんだろうなと、直感でそう感じた。





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