同居人は無口でクールな彼
「鈴香ちゃんのお部屋案内するわね」
「え?わたしの部屋を用意してくれたんですか?」
「もちろんよ。あの子のお姉ちゃんの部屋だけど、今大学生で一人暮らししているの。好きに使ってちょうだいね」
「すみません。お気遣いいただいて」
「鈴香ちゃん、謝らなくていいのよ。今日から鈴香ちゃんは数か月私の娘になるんだから」
わたしを緊張から解こうとしてくれているのか、お茶らけたように言うおばさん。
とても優しいおばさんに触れて、おばさんの子供の“ショウちゃん”に早く会ってみたくなった。
「鈴香ちゃん、あの子、午前中は部活だって言っていたから、お昼には帰ってくると思うんだけど。帰ってきたら紹介するわね」
おばさんの言う、お昼が少し楽しみになった。
おばさんの子供だからきっと優しい子だろうなとか。
もしかしたら仲良くなれるかもしれないなとか。
淡い期待を抱きながら、お昼になるまで持ってきた荷物を整理していた。