同居人は無口でクールな彼



“もうすぐ家に着くよ”

それだけ返信すると、すぐに既読がついた。


でも、返信が来ることはなくて、呆れられたのかなと思ってしまった。


そして、スマホをしまおうとした時。

気づいてしまった。


後ろから誰かの足音が聞こえている。


この前と同じだった。

わたしが止まれば足音が消えて。

走り出すと、また足音が始まる。


どうしよう、この前と同じ人かもしれない。


このままずっとまっすぐ走れば、家につく。

でも、この前よりもつけられ始めたのが、家から遠かった。


だんだんと足音が近づいてくるのが分かる。

誰かの乱れた呼吸が、だんだんはっきりと聞こえてくる。


相手が真後ろにいるのがわかった。

息をのんだ次の瞬間、気づけば腕をつかまれていた。




< 123 / 285 >

この作品をシェア

pagetop