同居人は無口でクールな彼



おばさんがいると、一気に賑やかになる。

わたしはその空気に安心した。


「うっせーな」


翔哉くんが、おばさんに聞こえないように呟いているのが、少しおかしかった。


「2人とも今日は焼きそばでいい?」


おばさんの質問に答えることなく、翔哉くんは次にやる数学のテキストを持ってこようとしていた。


でも、そのときに――


「いいよ」

とだけ、翔哉くんがつぶやいた。


きっと、今の“いいよ”は、わたしの質問に対するものだ。


“明日からみんなで勉強しない?”

“いいよ”




< 137 / 285 >

この作品をシェア

pagetop