同居人は無口でクールな彼



お母さんが言っていた“ショウちゃん”ってもしかして――

男子のことだったの――!?

てっきり女の子だとばかり思っていた。


しかも、リビングに入ってきた“翔哉くん”を見て、思わず息をのんでしまった。

だって――


「篠原くん……」


クラスメイトの篠原翔哉くんだったのだから。

驚いて次の言葉が出てこない。


彼の顔を見つめたまま固まっていると、ふいに彼がこっちを向いた。



「なに?」

「え、あ、えっと……」


この前の放課後の出来事は幻だったのかな。

そう思ってしまうくらい、彼の言葉にはとげがあった。


「翔哉、鈴香ちゃん怖がらせるんじゃないの!」


ぺしっといい音を響かせて、おばさんが篠原くんの頭を叩く。


「別に怖がらせてねーし」

「その威圧的な言い方、何とかならないの?ごめんね、鈴香ちゃん。こんな息子だけど仲良くしてやってね」


おばさんにそう言われて、笑顔を返すので精いっぱいだった。





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