同居人は無口でクールな彼
「翔哉、鈴香ちゃん怖がらせちゃダメじゃない」
「母さん、それ2度目だから。それに怖がらせてない」
教室で話してるところをほとんど見たことがなかったのに。
篠原くん、家では少し話すんだなと、じっと見つめてしまった。
でも、わたしの視線に気づいた彼がじろっと見てきて、すぐに視線をそらした。
無理!やっぱり怒ってる!怖い!
「あの……食器洗いはわたしがやります」
ごちそうさまと手を合わせてから、おばさんにお手伝いを申し出た。
お世話になっている身なのだから、何かやらないと申し訳ないと思ったから。
「いいのよ。食器洗いは翔哉の仕事なの」
「でも……」
「だったら、翔哉と一緒にお願い。時々食器落とすのよ、この子」
にこやかに笑うおばさんをじろりと睨む篠原くん。
その視線はまるで「そんなことするかよ」というような鋭いものだった。
「あの、篠原くん、ごめんね」