同居人は無口でクールな彼
「え?俺?……違う違う!誤解だって!篠原くん!」
大好きな翔哉くんに誤解されたくない灰谷くん。
弁解しようと必死だった。
「翔哉くん、灰谷くんのせいじゃ……灰谷くんに優しい言葉かけられて泣けてきちゃっただけで……」
「…………やっぱり泣かせてんじゃん」
わたしの言い方が悪くて、結局灰谷くんを悪者にしてしまう。
灰谷くんには申し訳なかったけれど、目配せをして出ていった翔哉くんのあとを慌てて追いかけた。
「翔哉くん……!」
まさか美術室まで迎えに来てくれるなんて、思ってなかった。
振り返ってみると、翔哉くんは何回もわたしを迎えに来てくれてる。
相変わらず振り向いてはくれないけど。
今のわたしには、それだけで十分だった。