同居人は無口でクールな彼



「ねえ、どうしよう……さっき先生のところ行ったんだけど、プリントしかもらえなかった」

「ごめんね、私ノート家だから……って言うより、まともにノートとってないから貸せないんだけどね」


ちょうど教室の前を通ったときだった。

クラスメイトの女子2人の声が聞こえてきたのは――


「翔哉くん!ちょっと待ってて」


翔哉くんに声をかけて、わたしは教室のドアを開けた。

中にいた2人の会話が途切れて、はっきりと目が合う。

同じクラスでも、今までまともに話しもしたことがない人たちだ。


「あの……」


やっぱり最初は勇気がいる。

声が震えた。


「なにかあったの?」


これだけで精一杯だった。

目の前の2人もわたしが話しかけるとは思ってもみなかったみたい。

目を丸くしている。




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