同居人は無口でクールな彼
朝教室に入ったときから、いつ渡そうか、どうやって渡そうか悩んでいる。
でも、みんなの前で普通に渡すことなんてできない。
だって、彼から篠原くんの家でお世話になっていることは誰にも言うなと言われていたから。
それでも、おばさんに頼まれたからお弁当は渡さないといけない。
でも、みんなの前で声はかけられない。
こっそりと彼のカバンの中に入れようかと思ったけれど、誰かに見られる可能性もある。
そうしたら、またあることないこと噂になってしまうかもしれないと思った。
そして、昼休みになると勢いよく席を立った篠原くん。
そんな彼の行動はいつもクラス中の注目を集めてしまう。
「…………っ」
行かなきゃ。篠原くんにお弁当を渡さなくちゃ。
お弁当の包みを持って、教室を出ていく彼を追いかけようとしたら、聞こえてきたクラスメイトの声。