同居人は無口でクールな彼



わたしのせいでせっかくのお弁当が台無しになったのに、おばさんはそれでも優しかった。

周りから優しくされることに憧れていたけれど、優しいことは嬉しいばかりじゃないんだ。

それを今初めて知った。


「本当にごめんなさい、おばさん。あと、わたしにまでお弁当ありがとうございました。おいしかったです」

「ふふ、1つ作るのも2つ作るのも同じだからいいのよ。でも、やっぱりいいわね。翔哉なんてお弁当の感想一度も言ってくれたことないのよ。あと、翔哉のお姉ちゃんの方もね」


こんな話をしていると、ちょうど篠原くんがリビングに顔を出した。

でも、部活終わりで汗だくな彼は、「先に風呂に入ってくる」と言ってすぐに出ていこうしたのだけれど……


「翔哉、まだお風呂沸かしてないから、ちょっと待ってなさい」

「……沸かしといてって言ったのに」






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