同居人は無口でクールな彼



「母さんから俺の弁当受け取ってたんだって?」

「あ……」

「さっき母さんから聞いた」


まるで責め立てられているかのうような物言いに、ぐっと体が硬くなる。

余計に言葉も出てこなくなって、そっと視線を下に落とした。



「あんた、弁当渡すこともできないわけ?」


冷たく言い放たれてしまっては、もう何も言うことはできない。


「あ……」


言葉が出てこなくて、あたふたしてしまう。

そして、そんなわたしを見た篠原くんは呆れた表情を浮かべていて、向きを変えて脱衣所を出て行った。



わたし……篠原くんに嫌われたかもしれない。


元から嫌われていたのかもしれないけど……


でも……

どうしてわたし、こんなにショックを受けているの?





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