同居人は無口でクールな彼
次の日の彼の態度も変わらなかった。
「いってきます」
昨日と同じように、篠原くんはわたしよりも先に家を出た。
今日はきちんとお弁当を持って。
「翔哉ったら、鈴香ちゃんと一緒に登校すればいいのに。ごめんね、鈴香ちゃん」
おばさんはこんなことを言っていたけれど、絶対できないと思う。
絶対、篠原くんはわたしと登校したがらないだろうから。
そして、わたしはどうしても篠原くんの誤解を解きたかった。
昨日説明できなかったこと。
どうしても説明してわかってもらい。
だから、わたしはこの日の放課後、篠原くんの部活が終わるまでずっと待っていた。
「…………」
そして、昇降口のところで目が合ったわたしを見て、篠原くんはまるで「なんでここにいんの?」とでも言いたげに固まっていた。
「あの、篠原くん」