同居人は無口でクールな彼
自分でも何を言っているのかわからなくなるくらい、わたしの話はまとまりがなかった。
わたしの言葉のどれほどが彼に伝わっただろう。
でも、彼はわたしをまっすぐ見つめていた。
「篠原くんの家でお世話になっていること、話さないようにって言われてたから。バレないようにこっそり渡そうと思ったんだけど、タイミングがつかめなくて」
ドクンと大きく心臓が動いた。
話はめちゃくちゃだったけど、今言いたいことを話せてる。
「結局渡せなくてごめんなさい!それだけ言いたかったの」
言いたいことを一通り言い終えると、やっと呼吸ができたような気がした。
それに、少しだけ気持ちが楽になったようにも感じる。
「俺こそ悪かった。昨日は言いすぎた」
しんと静まり返った空間に、彼の声はよく耳に届いた。
しかも、篠原くんが謝るなんて思ってもみなかった。