同居人は無口でクールな彼
「は?」
「あんたさ、放課後は友達と遊びに行くんだろ?さっきそこで話してたじゃん」
「……だったらなに?」
図星をつかれて、開き直った彼女はその怒りをわたしに向ける。
キッと鋭い視線が、わたしの息を止めた。
「遊ぶ暇があるなら、与えられた仕事はちゃんとやれよ」
翔哉くんの吐き捨てるような言葉は、わたしには温かく感じられた。
彼はすぐに教室を出てしまったけれど、まだ教室には彼がいるような余韻が残っている。
「あいつ、なんなの!篠原!マジでむかつくんだけど!」
しばらくして、彼女の怒りの声が教室中に響き渡った。
翔哉くんが、助けてくれた。
まさか助けてくれるなんて思わなかったから。
素直にうれしかった。
初めてクラスに味方ができた気がしたんだ。
また、ふいに佐藤希美さんと目が合って、思わずその場に立ち止まった。
でも、何を話しかけるわけでも、話しかけられるわけでもなく、わたしたちはまたただのクラスメイトに戻った。