同居人は無口でクールな彼



そして部活が終わり、わたしはいつものように教室へと向かった。


でも、今日は泣くために戻るわけじゃない。

今日は泣かないんだぞと自分をほめるために、教室に行くんだ。


そんな気持ちで教室に向かっていると、移動教室の時にしか使わない教室に誰かがいるのに気づいた。

こんな時間に何をしているんだろうと思って、よく見てみると……



「あれは……佐藤さん?」


そこにいたのは、机にかじりついて何かに没頭している佐藤希美さんだった。

彼女はいつも教室で、大勢に囲まれる人気者。

だから、放課後にこうして一人でいる光景が信じられない。


でも、チャンスだとも思った。

この前、わたしと翔哉くんを目撃したのが、彼女であったか確認したかったから。



「あの、佐藤さん……」

「…………!?」





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