【コミカライズ】私の運命は、黙って愛を語る困った人で目が離せない。~もふもふな雪豹騎士にまっしぐらに溺愛されました〜
 夢の中で、途切れ途切れ聞こえてきた悲鳴は一気に覚醒した時には、もう、耳には届かなかった。

(寒い。雪の中?)

 刺すような寒さというのだろうか。肌を切りつけるような冷たさに、震えさえもおこらない。身動きが取れなくて、何かで縛られているのか手も足も思うように動かせない。

 重い瞼を何とか開けたティタニアは、自分の視界いっぱいに予想もしていなかったその人の顔があったことに驚いた。見下ろしているその緑色の目は、深淵の中のように奥が見通せなかった。

「アナベル……さん?」

 起きたてのせいなのか、それとも他の理由なのか、うまく声が出せなかった。かすれた声は震えがあった。

(どういうこと……馬車に乗って……そう、とにかく次の街まで行こうと、夜道を急いでいたはずなのに)

 以前見た時よりも、落ち着いた様子のアナベルはゆっくりと体を起こすと、さらりとしている金色の髪の毛が揺れた。彼女の後ろには大きな青い月。

「おはよう。イグレシアス伯爵令嬢さま。貴女と結婚したらスノウは伯爵位を賜るのよね。羨ましい。私も出来れば、その立場に産まれたかったわ」

 ティタニアの持っている立場を持つことにより、どれだけの義務と責務を負うことになるのか。彼女はきっと知る由もないだろう。無い物ねだりをする幼児のように、その言葉には羨望しか含まれていなかった。

「どうして……何で?」

 信じられない状況に呆然としたままのティタニアの顔を見て、アナベルは辺りを見回した。その動きにつられて周囲を見ると、昨日来たばかりの雪山だった。一面の銀世界。二人が黙って動きを止めると、音が溶けているのかと思うほどの静寂。

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