【コミカライズ】私の運命は、黙って愛を語る困った人で目が離せない。~もふもふな雪豹騎士にまっしぐらに溺愛されました〜
 今こうしている自分の命に、後どれくらいの猶予があるのかはわからない。けれど、ずっとその間はあの唯一人の彼のことだけ、もう手を離してしまったスノウのことだけ、それだけを一心に考えていたかった。

 最初に彼を見た時の不機嫌な顔に、ティタニアが話しかけると途端に笑み崩れる嬉しそうな顔。どれだけ彼が愛してくれていたのか、自分だけは全部覚えていた。

(運命って、何なんだろう。こうやって私が結果的にスノウの手を離してしまうことも、全部、運命なのかな。別れすらも決められたことなら、会わなかった方が、良かったのかな)

 そう思ってから、ティタニアはゆっくりと瞼を閉じた。

 スノウと会わなかったらどうなっていたんだろう。ジュリアンと結婚して、容易に想像のつくような不幸な日々を送っていたのだろうか。もしそうだとしたなら、例えここでもうすぐ死んでしまったとしても、選べるのならばこの道を選んでいただろう。

 ほんのすこしの間だったとしても、愛し愛される両思いの人が居たという事実は、きっとその甘さを知ってしまっていたのなら、諦め難かった。

 命の灯が消えてしまうそのすぐ前だというのに、焦燥も絶望も湧かなかった。ただただ、彼への憧憬だけが胸の中を占めていた。

(もし願いが叶うならば、神様。スノウが、今度こそ自分の意思で好きになれる人に、彼が心から愛することの出来る人が現れますように)

 静かな暗闇のただ中に居たティタニアの耳に、低い唸り声が聞こえた。

 忍び寄る死の予感に、怯えなどはもう感じなかった。ただ、純粋な祈りだけが、一筋の光のように心の中に残った。

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