【コミカライズ】私の運命は、黙って愛を語る困った人で目が離せない。~もふもふな雪豹騎士にまっしぐらに溺愛されました〜
 庶民から貴族になり、大商人と呼ばれた祖父からの遺伝か幸い商才は持っていたものの、領地経営もすべて一から学び、一人貴族社会でそんな人間たちと渡り合わねばならなかった父の苦労を思うと泣けてくる。

 だから、そんな苦労をしている父の足を、娘の自分が引っ張ってはいけないとティタニアは常々思っていた。

 自分の意思など何の関係もなく、祖父が大金を使って調えた縁談で幼い頃から決められていた格上の家柄の婚約者がどんな人間だとしても、女性の方から婚約解消を望むのは貴族令嬢としての致命傷になるのだ。何か問題があるのかとそう勘繰られてしまう。いくら結婚すれば爵位が付いてくる未婚令嬢とて、変な噂が付きまとえば良いご縁は望むべくもない。

 だから、極力感情を乗せずに、その事実のみを伝えた。

「……ジュリアン様は、城下にご自分の館をお持ちでそちらの方に」

 スノウは形の良い片眉を上げた。どうにも彼はこの場所に来てからというもの、不機嫌そうな顔を崩さない。元々そういう性格なのか、この場にある何かがひどく気に入らないのか。

< 20 / 285 >

この作品をシェア

pagetop