【コミカライズ】私の運命は、黙って愛を語る困った人で目が離せない。~もふもふな雪豹騎士にまっしぐらに溺愛されました〜
 彼の待つ応接室へと入ったティタニアは、その声を聞いて眉が寄ってしまうのをどうしても我慢出来なかった。こういう時には、立場的にも無表情でいるべきだとはわかっていたはずなのに。

「ジュリアン……いえ。ジュリアン様、どうして本日はこちらに?」

 貴族としての基本の礼儀である訪問前の知らせもなく、いきなりやってきた彼に、カールはもう会うことはないとは言っていた。

 けれど、どうしてもティタニアに会うと言い張っていたそうなので、何度もこれからこんなことを繰り返すならと思い、ティタニアは彼の待つこの部屋にやってきた。久しぶりに見たジュリアンは最後に会った時より、やつれて痩せていた。美しく整った顔もどこか陰鬱で、あんなに拘っていた服もあの頃よりも格段に安っぽい。プライドが高く、見た目に妥協しない彼らしくないと、一見してからティタニアは思った。

「あいつ……あいつは貴族の夫人になれると思っていたのにと言っていた……それには、お前が邪魔だったから襲わせたとも、言っていた。とんでもない女だったんだ」

 その人物はジュリアンと一緒に住んでいた、金髪女性のことだろうか。そう言えばスノウとユージンに助けて貰った襲撃はあの人の仕業だったのかと、ティタニアは納得した。

 それももう遠い過去のことだ。真相がわかったからと言って、今更蒸し返すつもりもない。ティタニアには、今スノウが傍に居る。それは目の前の彼が去ってくれなかったら、もしかしたら叶わぬことだったのかもしれないのだ。

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