【コミカライズ】私の運命は、黙って愛を語る困った人で目が離せない。~もふもふな雪豹騎士にまっしぐらに溺愛されました〜
 躊躇うように言葉を続けづらそうにしているジュリアンを見て、ティタニアは悟った。誇り高い高位貴族であることを、あんなに自慢していた彼が、嫌っていた元婚約者である自分に会いに来たのだ。

 それだけで、彼の今の窮状がわかった。

「……謝るよ。僕は本当に取り返しのつかないことをした」

 それを言ったからと言って、どうにもならないことは彼自身きっとわかっている。ティタニアの手を離したのは、彼自身なのだ。ここに来て、どうしようもないことは理解しているはずだ。けれど、彼は以前この場所で、彼はティタニアと結婚し、次期伯爵の地位も約束されていたのだ。どうしようもない場所まで来て、それがどれだけ得難いものだったのか、思い知ったのだろう。

 彼の様子からして、ティタニアから奪った鉱山の権利は既に手放しているのだろう。生活苦による金の無心だろうか。この様子だと、実家にももう帰れないのかもしれない。

 目の前のジュリアンに対して、哀れみしかわかなかった。ただただ、可哀想だった。これからやってくるだろう苦難も、ただ持っているだけの血筋に対する誇りも、彼を強くはしないだろう。

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