【コミカライズ】私の運命は、黙って愛を語る困った人で目が離せない。~もふもふな雪豹騎士にまっしぐらに溺愛されました〜
さざなみのような葉擦れの音が響いた。
どこからともなく届く雨の匂いと強い風の気配を感じ、ティタニアは自室の窓の外を見て、段々と灰色に曇ってきた空を認めると眉を寄せた。
ティタニアの父、イグレシアス伯爵カール・イグレシアスがユンカナン国王より統治を任されたノーサム地方には、この時期、激しい嵐が良く来る。
傍若無人に鳴り響く雷の音や、滝のように流れるひどい雨に降り込められる感覚が好きではないティタニアは、天候だけはどうにもし難いとわかってはいても、我慢できずにため息をついてしまう。
新緑の森に周囲を包まれた美しい城館に住むことには、何の不満はない。けれど避けることは出来ない暗雲がやって来ると、嫌な過去の出来事を思い出し、本能的な不快感が出てしまうせいか、どうにも眠りが浅くなり気分良く過ごせない。
嵐の予感には、どうしても憂鬱になってしまう。
イグレシアス伯爵が居城とするこの城館の近くには、いくつもの巨木がある。大昔、この地方を治めていた領主を、大変気難しいと言われている森の妖精が珍しく祝福したことがあるからだと伝えられている。そんな伝説のような噂も、まことしやかに囁かれるくらい、その一本一本が森の主だと言われても不思議ではない巨木群だ。
ティタニアはその中の大きな木のひとつに、まるで猫のような軽やかな動きで枝と枝を渡っていくふたつの白い影を見つけ、気心の知れた侍女のミアに興奮した声をかけた。
「……ミア! 白い、白い大きな猫が居るわ。二匹もよ!」
ミアはティタニアの侍女になって長く、主従関係ではある。けれど、母と幼い頃に生き別れたティタニアにとっては、最も距離の近い同性と言っても良い。
どこからともなく届く雨の匂いと強い風の気配を感じ、ティタニアは自室の窓の外を見て、段々と灰色に曇ってきた空を認めると眉を寄せた。
ティタニアの父、イグレシアス伯爵カール・イグレシアスがユンカナン国王より統治を任されたノーサム地方には、この時期、激しい嵐が良く来る。
傍若無人に鳴り響く雷の音や、滝のように流れるひどい雨に降り込められる感覚が好きではないティタニアは、天候だけはどうにもし難いとわかってはいても、我慢できずにため息をついてしまう。
新緑の森に周囲を包まれた美しい城館に住むことには、何の不満はない。けれど避けることは出来ない暗雲がやって来ると、嫌な過去の出来事を思い出し、本能的な不快感が出てしまうせいか、どうにも眠りが浅くなり気分良く過ごせない。
嵐の予感には、どうしても憂鬱になってしまう。
イグレシアス伯爵が居城とするこの城館の近くには、いくつもの巨木がある。大昔、この地方を治めていた領主を、大変気難しいと言われている森の妖精が珍しく祝福したことがあるからだと伝えられている。そんな伝説のような噂も、まことしやかに囁かれるくらい、その一本一本が森の主だと言われても不思議ではない巨木群だ。
ティタニアはその中の大きな木のひとつに、まるで猫のような軽やかな動きで枝と枝を渡っていくふたつの白い影を見つけ、気心の知れた侍女のミアに興奮した声をかけた。
「……ミア! 白い、白い大きな猫が居るわ。二匹もよ!」
ミアはティタニアの侍女になって長く、主従関係ではある。けれど、母と幼い頃に生き別れたティタニアにとっては、最も距離の近い同性と言っても良い。