【コミカライズ】私の運命は、黙って愛を語る困った人で目が離せない。~もふもふな雪豹騎士にまっしぐらに溺愛されました〜
 それを言った男の冷酷な顔をティタニアは動揺することなく、静かに見返した。ドレスの中にある「万が一のために持たされているナイフ」をぎゅっと握りしめた。これを使うのならば、早い方が良い。

(お父様、ごめんなさい。でも、誘拐されるくらいならここで……)

 覚悟を決めようとしたその時、やはりまたいくつもの悲鳴が響き渡る。続けて聞こえる恐ろしい獣の唸り声。ティタニアの腕を掴んでいた男はチッと舌打ちをすると、素早く身を翻して森の方へ単身逃げて行った。今ある状況を把握するのが早い。きっと優秀な裏稼業の人間なのだろう。妙な事に感心したティタニアは、扉を閉めてほっと息をついた。わざわざ外を確認しなくても、なんとなく状況はわかっていた。

 獣人であるスノウとユージンの二人が救いに来てくれたのだ。

 その予想通り、扉が遠慮がちに静かに開いた。

「……ティタニア……? 大丈夫か?」

 馬車の扉から大きな体を折って覗き込み、眉を顰めているのはスノウだ。彼は上半身裸なのは、きっと獣化してここまで来てくれたのだろう。

「スノウ様。ありがとうございます」

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