【コミカライズ】私の運命は、黙って愛を語る困った人で目が離せない。~もふもふな雪豹騎士にまっしぐらに溺愛されました〜
「それはこちらにとって、願ってもないことだ。君はそれで良いのか? これといった財産のない何の旨味もない領地しかない名前だけ爵位付きで、貧相な身体の貴族令嬢など、まともな貴族なら欲しがらないだろうな。まあ、助かったよ。君からそう言ったと言えば、うるさい親ももう何も言わないだろう。婚約の代償に貰ったお金も返さなくて済むしね」

 いつものようにバカにしたように笑っても、表情を変えずに何も言わないティタニアの脇を通り抜け、面白くなさそうに鼻を鳴らしてジュリアンは去っていった。

「……あいつ、噛み殺してやろうか」

 開かれたままの扉の方から聞こえてきたその声は、振り向かなくてもわかった。

 静かに頬を涙が伝った。これまであんなに我慢を重ね、苦しめたものがいなくなってしまうのは、ほんの一瞬だった。何も言わずに首を振るティタニアに、彼はゆっくりと近づいて来た。

 スノウはただ優しく抱きしめて、なぐさめの言葉も、何も言わなかった。
< 87 / 285 >

この作品をシェア

pagetop