大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
 ビスクドールのように滑らかな背中が寒さのためか、与えられた快感のためか、薄く粟立っている。

 それすらも修太郎(しゅうたろう)には堪らなく官能的に見えてしまうのだ。


 吸い寄せられるように(あら)わになった日織(ひおり)の肌に唇を寄せると、わざと強めに吸い付いて、一点のシミすらなかった背中に小さな紅い鬱血の痕跡(あと)を刻む。

 そのままでは肩口がかわせそうになかったので、一旦鏡に押し当てていた日織の手を解放すると、両肩を撫でる要領でワンピースを彼女の足元に落とした。

「やぁ、っ、……修太郎さっ、恥ずかし……ぃですっ」

 途端日織が足元にうずくまろうとするのを、寸でのところで手首を取って引き上げながら阻止すると、修太郎は彼女の耳元で低く甘くささやいた。

「今までも散々僕に暴かれてきた身体でしょう? 何を今更そんなに恥ずかしがる必要があるんです?」

 おそらく日織は知らないであろう、首の付け根、左後ろにある小さなほくろ。
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