一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない

 私はベッドの上で、ガバリと飛び起きる。意味が分からなかった。

「た、鷹也さんっ⁉ どうして⁉」
「どうしてと聞きたいのはこっちだけどな。でも、とにかく……」

 ふいに、強い力で抱きしめられる。
 私はこの状況に全く意味が分からず目を白黒させた。

「見つかってよかった」

 彼の優しく低い声が鼓膜を揺する。
 
ーーー彼はこんな時まで怒らないんだ。

 そう思うと辛くもあった。
 またさらに抱きしめられる腕に力が籠る。
 
 私はその抱擁を拒否することも、迎合することもできず、ただ、その場に固まっていた。
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