一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
―――それから一時間後。

 私はベッドの上でタオルだけを巻いて、転がっていた。

「のぼせちゃったな。水飲みなさい」
「どうも」

 そういって鷹也さんはペットボトルのミネラルウォーターを私に渡してくれる。
 私はそれを受け取り一口飲むと、またムスっと膨れる。

 そんな私の顔を見て、鷹也さんはからかうように言った。

「膨れるとますます子どもっぽくなるぞ」
「うぐぅっ……」

 私はそのまま顔を隠す。
 子どもっぽいって思われるのは嫌だった。それを鷹也さんも知っているから時々こうやってからかうように言われる。

(いつも優しいくせに、やっぱりこういうところは意地悪だ)

 鷹也さんはくすくす笑いながら、私が顔を覆っている手を掴む。

「ほら、顔隠すな。ちゃんと顔見せて」
「もう充分見てますよね。もう恥ずかしいし、やめてぇ」

 私がなお隠そうとすると、鷹也さんは両手首を取って、そのまま私をベッドに押し倒し、手をベッドに縫い付けた。
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