一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
その日、家に帰ってきた鷹也さんが、ネクタイを緩めながら口を開く。
「今日は、藤さんが来てたんだっけ」
「はい」
「だからいつもよりご機嫌なんだな」
そう言われて、私は頬が緩んでいるのに気づく。
短い時間だったけど、遥と会えて随分救われた。
「私の頼れる姉みたいなものなんです。んんっ……!」
いつもより激しく唇が合わされる。
唇が離れた時、少し眉を寄せる鷹也さんを見て、私は首を傾げた。
「ちょっと妬けるな」
「女性ですよっ!」
「それでも」
鷹也さんはそう言ってもう一度口づけ、私の額に額を合わせる。
「俺の知らない沙穂をしってるんだろ?」
―――あぁ、もうこの人は……。
何時だって頼りになって優しいくせに、時々こんなふうに子どもじみてる発言をしたりする。
だから、いつだって私の心を捉えて離さない。
私は心から、鷹也さんとの子どもができたらなぁ、と思っていた。