一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない

「相手は?」
「そ、そんなの関係ないですよね」
「関係あるだろ」

 腕が取られた、と思ったら、そのまま押し倒される。
 自分が起きがけで、ベッドの上にいたままのことを本気で後悔した。

「は、離してくださーーー」
「その男とどこまでした」

 鷹也さんが低い声で被せるように問うてくる。
 その声が絶対0度以上に冷たくて、背中から全身が冷えた気がした。

「……へ?」

 その男って……
 あぁ、私が『好きになった男』ってことか……。

―――どうしよう。嘘なのに……。

 そんな人は存在していない。というか、女子中・女子高・女子大と進んだせいで、男性の知り合い自体非常に少ないし、今、男性で私と話すのなんて鷹也さんと城内さんくらいだ。
 嘘だ。完全に嘘だ。

 少しでも私を知ってる人なら、間違いなく嘘だと見抜ける嘘なのだ。
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