second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
『今田さんのお腹で育っているお子さんには、超音波検査で心臓に異常を認める所見が見つかりました。』
今田さんに胎児の心臓病疑いがあることを告知してから1週間後の産婦人科外来面談室。
今田さんはご主人とともに訪れて下さった。
「妻からも聞きました。無事に生まれてくるんでしょうか?」
もうすぐ妊娠9か月になる今田さん。
しかも初めてのお子さんで彼女も、そしてご主人も本当に心配そうな顔をしている。
正常妊娠だって、絶対に無事に生まれてくるなんて言えない
まして胎児に異常所見があるなら尚更
前回の今田さんの診察の時に同じ質問をされたら、あたしはどう返答したらよいのかわからずに目が泳いでしまったりして、彼女達を不安にさせてしまったであろう
でも、今は
『絶対に無事にとは言い切れません。けれども、私達は、最善を尽くせるよう入念に準備をして万全の体制で出産を迎える努力をすることをお約束します。』
今田さん、そして彼女のご主人の目をしっかりと見つめて、はっきりとそう言える自分がいる。
周産期センターチームの存在があたしを強くしてくれている。
「心強いです。でも、私達、わからないことばかりで・・・子供の病気もそうですし、出産まで本当に大丈夫なのかとか、自分達がどうやっていけばわからなくて・・・・」
言葉が出てこない今田さんの隣にいるご主人が今の率直な気持ちを話して下さる。
本人はもちろん、ご家族だって動揺しても当然。
どちらもケアしないといけない対象なんだ。
『お気持ち、お察しします。出産については、事前に帝王切開を予定することなく、経膣分娩・・・手術をしないで通常の分娩で対応させて頂く予定です。』
「帝王切開じゃなくてもいいんですか?」
胎児の心臓に問題があるから帝王切開になるであろうと予測していた様子の今田さんが驚きながらあたしに問い質す。
かなり難しい説明をしなくてはならない
母体のことだけでなく、胎児のことも
母体のことだけなら、なんとか噛み砕いて説明できるけれど、
胎児の、しかも専門外の心臓のことまで、同様に噛み砕いて説明することは難しい
今まで、今田さんのような症例は転院を勧め、詳細は転院先にお任せしていたからだ
転院を勧めずに、自分達の手で治療を勧める挑戦を始めるにあたって
早速、あたしの前に大きな壁が現れた。